夜に絵を描くと眠たい。お腹も減る。
何か食べたいけれど、体にあまり良くないんじゃないかと一度逡巡する。
仕方がないので大体は、目が覚めそうなものを飲んで空腹を誤魔化す。この夏は緑茶を冷蔵庫で冷やしたものを飲むことが多かった。
ある晩、眠くて眠くて、暗い足元をアイフォンで照らしながら冷蔵庫の前に行き、緑茶をとり出した。電気もつけず透明のコップの緑茶を入れ、片方の手でコップを握り、もう片方のアイフォンを持った手を添えて、お茶を飲み始めた。アイフォンの青白い光に照らされてぼんやりと光る半透明の緑の液体を飲んでいると、飲んではいけないものを飲んでいるようだと寝ぼけ眼で思った。漫画や映画に出てきたりしそうな、秘密の研究所の秘密の飲み物のようだった。
その時は面白いものを見つけてしまったなと思い、結局そのまま眠りについたのだけど、翌朝目覚めるとそれほどの発見ではない気がした。昨日のあの眠気の中でしか感じられない面白さな気がして、再び同じことをすることはなかった。